しかの湯
1997.9.14 - 15
(ごめんなさい、長文です。)


 鹿の湯は知る人ぞ知る小さな無料の天然露天風呂で、場所は鹿追町の北、然別湖から数キロ離れたところにあります。

 札幌を出発したのが夕方だったので、峠をこえて鹿追町に着いた時にはすでに日は暮れ、あたりは真っ暗になっていました。
 山奥へと続く道に入り、真っ暗な林道をバイクで20〜30分ほど慎重に進むとカンノ温泉という温泉旅館にたどり着き、そこから2、3分ほど進むとキャンプ場に到着しました。
 ここまでの道は当然ながら未舗装で、道幅も狭く傾斜やデコボコも多少あるためオフ車でないとちょっとつらいとは思いますが、普通のバイクや車で来ている人も少なくないようでした。

 キャンプ場は静かで感じがよく(あくまで主観ですが)、利用者のマナーもよさそうでした。
 テントを立て夕飯をすませた後、いよいよ鹿の湯へと向かいました。キャンプ場から渓流のほうに向かい100mほど真っ暗な小道を歩いていくと薄明かりに包まれた露天風呂がみえてきました。

 湯舟は六畳間くらいの広さで、既に3、4人の先客達が入っていました。 脱衣場らしきものもあるにはありますが、つい立て一枚だけなので外からは完全に丸見えです(笑)。 基本的には川辺の岩の上で服を脱いで入ることになります。水着の着用は禁止されてるそうです。 照明等の設備は無いので各自がランタンや懐中電灯を持ってきていました。

 湯舟のすぐ横には渓流が流れ、上をみあげれば川の両岸の木々に囲まれた夜空が顔をのぞかせています。お湯はそれほど熱くなく、いつまでも湯舟につかっていられそうな温度でした。
 途中から人が増えはじめ8人くらいになりましたが、それでも湯舟にはまだ広さに余裕がありました。
 ここで知り合った人達と、しばしツーリングや温泉などの話題で盛り上がり、そのうちに
「ここで湯舟につかりながらビールでも飲めたら最高だねぇ」
 という話題になったのですが、ビールを買いたくても、なにしろここから一番近いコンビニか自販機まではバイクで行っても最低20〜30分。しかし、そういったコンビニも自販機も電気も何もないところがここの素晴らしいところなんだ、という結論に落ち着きました。

 そのうち、途中から20代くらいの女性の方がやって来て、一瞬ドキリとしましたが、(^^; 皆が気を利かせて明かりを消したのでお互い気にせずに楽しい一時を過ごすことができました。

朝の鹿の湯
翌日、朝風呂に入った時に撮影。夜とは全然違う雰囲気です。



鹿さんこんにちは
帰り道、鹿を何匹か見かけました。



 この温泉の素晴らしさを他の人にも知ってほしいと思う反面、もしここが有名になり大勢の人が訪れるようになれば、やがて利用者のマナーも低下し、うるさくなってゴミも散乱するようになるのではないかという心配もしています。

 鹿の湯のようなところには、いつまでも今の姿のままでいてほしいと思うのですが、自分も旅行者の一人である以上、そんなことを願うのは一人よがりのエゴかもしれません。が、一度ここに来てその良さのわかった人ならば、きっとそう願うようになると思います。
 いろいろと難しい問題もあるとは思いますが、せめて個人レベルで、ゴミは必ず後始末する、夜に騒がない、といった最低限のマナーだけは守っていきたいものだと思います。



(追記)
この文章は3年ほど前に書いたものですが、その後、平成12年にここで死亡事故があったらしいです。
湯船の中に死体があったらしいのですが、その後どうなったんでしょう??
気にせずにもう一度行こうかな・・・(でも怖そうだ)

 


ツーリングレポートの目次に戻る

ホームに戻る